筋トレ前のウォームアップ(ウォーミングアップ)の必要性や効果的な時間は?

こんにちはパーソナルトレーナーの五十嵐です。
みなさん元気にトレーニングしてますか?
元気にトレーニングをするために必要なことってなんだと思いますか?
ちなみに元気にトレーニングしないと筋肉って実はなかなか成長しないんですよ。
ここで言う元気ではない状態というのは、疲れている時にする筋トレということです。
本当は疲れている時に高重量で追い込むトレーニングはケガを避けるためにもやらない方がいいのですが、どうしてもやりたいときこそ必要なのものがウォームアップです。
もちろん調子が良いときであってもウォームアップはやった方が効果的です。
でも間違えたやり方だと筋肉にとって逆効果になってしまうウォームアップだってあるんです。
今回は正しい効果的なウォームアップと、そうでないウォームアップとを比較していきたいと思います。
<筋トレ前にウォームアップを行う目的とは?>
まずはなぜ筋トレをする前にウォームアップが必要なのでしょうか?
そこにはいくつかの目的があります。
主に筋トレ前のウォームアップには以下の目的があります。
- 筋トレの効果を上げる
- トレーニング最中のケガを防止する
- テンションを上げていく
こういった効果がウォームアップにはあるのですが、一つずつ詳しく解説しましょう。
筋トレの効果を上げるためのウォームアップ
筋肉というのは車のエンジンと一緒で、ある程度筋肉の温度が上がったほうが力を発揮します。
冷え切ったエンジンよりも暖機運転がバッチリなエンジンのほうが加速が速いのと同じです。
本来のポテンシャルである筋力を限界まで発揮しないと、筋肉というのはそれ以上の発達をしません。
ですからまずウォームアップによって筋肉の温度を上げて、発揮できる筋力を最大限に持ってくるようにしましょう。
ウォームアップは筋トレ最中のケガを防止する
筋トレで痛めてしまう場所というのはほとんどがスジや腱・関節などです。
ウォームアップというのは筋肉の温度だけでなく、関節や腱といった部分も温めていくことが出来て、それによって日常では味わない高負荷がかかっても痛めることが出来るんです。
特にダンベルやバーベルを使用するコンパウンド種目(多関節種目)は関節に負担がかかるので、しっかりとウォームアップをしたいものです。
ウォームアップは筋肉だけでなく気持ちのテンションも高める
これまでの2つは身体に関わるウォームアップでしたが、最後にメンタル面から1つ。
筋トレ、特にバルクアップ(筋肥大)を目的としたトレーニングは日常では味わない重たいものを持ち上げたりします。
当然ながら平然となんて上げられるわけがありません。
そのためにかなり興奮した精神状態をウォームアップによって作り上げる必要があるのです。
ジムで高重量を扱うトレーニー(トレーニングをしている人)が声を出したり、目つきが少し怖い印象をもたれやすいのはこの興奮状態にあるからなんです。
正直あまり筋トレのことを知らない人がこの状態のトレーニー見ると、近づきづらいですよね(汗)
本当は根はいい人たちが多いですので(全員がそうかは分かりませんが)、あまり毛嫌いしないでくださいね(笑)
ちなみに僕が高重量で追い込む時はあまりトゲトゲしい雰囲気を周りにバラまかないように、できるだけスガスガしい雰囲気と表情を作るように努力はしています(笑)
<筋トレ前に行なうウォームアップの種類とやり方>
筋トレを始める前のウォームアップの種類なんですが、具体的なやり方はストレッチをやっていただきます。
ただ注意点としてストレッチにも2種類あり、それらを間違えるとウォームアップのはずが逆効果になってしまうということすらあるのです。
ストレッチには大きく動的ストレッチ(ダイナミックストレッチ)と静的ストレッチ(スタティックストレッチ)があります。
動的ストレッチとは・・・
動的ストレッチ(ダイナミックストレッチ)は名前に『動く』と入っていることからも、反動を付けながら少しづつ筋肉や関節を動かしてストレッチをしていきます。
ラジオ体操がその動的ストレッチにあたります。
この動的ストレッチはトレーニング前に行なうと効果的で、筋肉や関節の動く可動域を大きくしてくれます。
その分筋肉をしっかりと動かすことが出来てトレーニング効果を高めるのです。
静的ストレッチとは・・・
静的ストレッチ(スタティックストレッチ)は反動を使わずに、じっくりと筋肉を伸ばす方法です。
皆さんが一般的に“ストレッチ”と聞くとこちらのストレッチをイメージするのではないでしょうか?
床に座っての前屈や、開脚した姿勢でジッとしているのを静的ストレッチというんですね。
この静的ストレッチはトレーニング後に行なうことで疲労回復の効果などをもたらしてくれます。
けっきょく筋トレの前はどっちのストレッチが効果的なの?
では動的ストレッチと静的ストレッチはトレーニングをこれから行う場合にはどちらがいいのでしょうか?
結論から言えばトレーニングをする前には動的ストレッチ(ダイナミックストレッチ)をするといいでしょう。
なぜなら静的ストレッチというのは筋肉をじっくりと伸ばしていく行為です。
反対に筋力トレーニングとはターゲットの筋肉を収縮、つまり縮めていく行為です。
つまりこれから行いたい筋トレの行為と真逆の行為が静的ストレッチで、筋肉を伸ばしすぎると筋肉の収縮がしづらくなってしまうのです。
ですので筋肉や関節の温度を上げて、可動域をしっかりと確保するためには動きを伴う動的ストレッチが最適なのです。
トレーニング後の筋肉の疲れを癒して、疲労物質を筋肉から排出するためなら静的ストレッチを行なうようにしましょう。
1つ注意として筋トレ前のウォームアップは、動的ストレッチだったらいくらでもやっていいのかと言ったらそうではありません。
身体を動かしながらと言っても1箇所は30秒以内を目安に行なうようにしてください。
ジムの中で筋トレを行なうようであればウォーキングやエアロバイクなどのマシンを使ってもいいでしょう。
関節を動かし、筋肉を動かして体温を上げることができれば、しっかりと筋肉をフル可動域で動かせてトレーニング効果が出やすいです。
<ウォームアップを実践!筋トレ前に行える動的ストレッチ12種類>
それでは各部位のトレーニングを始める前に行うといい、動的ストレッチを紹介していきましょう。
激しいトレーニングであればあるほど、事前のウォームアップが大切なので取り入れるようにしてくださいね。
◆大腿四頭筋(太もも)・大殿筋(お尻)・腸腰筋(股関節)を同時に伸ばす動的ストレッチ
上の動画では3種類のターゲットでまとめて行っていますが、1つずつでもOKです。
例えば膝を抱えるだけの動きを交互に行えばお尻のストレッチですし。
足を前後に開いて交互に入れ替えれば太ももの付け根のストレッチとなります。
◆大胸筋(胸)の動的ストレッチ
動画のように両手を対角に広げることで大胸筋がストレッチされます。
そしてまたちがう角度に変えて腕を対角線上に伸ばします。
胸の筋肉が伸展と収縮を繰り返すことによってストレッチされていきます。
◆広背筋(背中)の動的ストレッチ
広背筋のストレッチは肩を指先で押さえ、身体を前傾させ肩をグルグル回します。
こうすることで広背筋のトレーニングで非常に重要な、肩甲骨の動きが良くなります。
いっけん三角筋のストレッチのように感じますが、肩甲骨が動かされることによって広背筋の可動域が広がります。
やってみると分かりますが、直立でやるよりもスクワットのような前傾姿勢のほうが肩甲骨周りの意識と可動域が広がります。
◆脇腹(腹斜筋)の動的ストレッチ
両手を上に伸ばした状態を保ちながら両サイドに身体を傾けていきます。
息を吐きながら身体を傾けることで、倒した方向と反対の側面がストレッチされます。
お腹周りの動的ストレッチはこのように体幹部を左右に倒していきます。
痛みがない位置までで動かし、無理のない範囲で行ってくださいね。
体幹部が斜めにならないように、常に胸を正面に向けて動作を行うようにしてください。
◆ハムストリングス(太もも裏側)の動的ストレッチ
動画のように足を前後にスイングすることで、太ももの裏側のハムストリングスをストレッチさせることが出来ます。
両手を振りながらバランスを取って行なうようにしてください。
もう一つのやり方でこういった方法もあります。
動画のように床をタッチできない場合は足首や膝の辺りでもいいです。
膝を曲げてしまうとハムストリングスが伸びないので、痛くないところでいいのでしっかり膝を伸ばした状態でやりましょう。
◆太もも(大腿四頭筋)の動的ストレッチ
床に横向きで寝転んだ状態で膝を曲げて前後に揺らします。
ちなみに、かかとをお尻の後ろ側に固定したまま膝を後ろ方向に送り出した姿勢をキープすると大腿四頭筋の静的ストレッチになります。
◆肩(三角筋)の動的ストレッチ
三角筋の動的ストレッチは大胸筋の動的ストレッチとかなり似ています。
いったい何が違うのかと言うと、手首を前後にひねることで三角筋がストレッチされるのです。
動画では左右の手でひねる方向を変えていますが、慣れるまでは練習が必要ですね。
昔に流行ったパラパラダンスでこんな手の使い方があったような気がします(笑)
◆腕の前(上腕二頭筋)の動的ストレッチ
もし肩が痛かったりするようであれば可動域を半分の、体の側面から後ろに動かすだけでいいでしょう。
◆腕の後ろ(上腕三頭筋)の動的ストレッチ
慣れないうちはゆっくりと腕を動かしてください。
いきなり大きな可動域で腕を回すと肩を痛める可能性もあります。
◆内もも(内転筋)の動的ストレッチ
痛くないところまででいいので、膝を開いていきましょう。
膝を開くタイミングで息を吐きながらやるとしっかりと内転筋がストレッチされます。
◆お尻(大殿筋)の動的ストレッチ
バランスをとるのが難しいようであれば内転筋のストレッチのように、仰向けに寝転がって交互に膝を手前に引き寄せるだけでも大臀筋ストレッチになります。
もちろんここに紹介した以外の動的ストレッチもありますし、詳しくはこの後に説明しますがこれから実施するトレーニングフォームをエアーで行なうことでも動的ストレッチになります。
ご自分のやりやすいやり方をぜひ選んでみてください。
<動的ストレッチ以外でも使える筋トレ前のウォームアップ>
筋トレ前のウォームアップはきちんとした動的ストレッチをやるのがベターなのですが、ちょっとした工夫でそれ以外のやり方でもウォームアップ効果を得ることが出来ます。
筋肉や関節の温度を上げること以外にも、筋トレに集中するためのウォームアップの方法もあるので紹介しましょう。
これから行なうトレーニングのフォームをエアーで
例えばプッシュアップを今から行なうとします。
その前のウォームアップとして、床に手をつけないでいいので前方に向かってプッシュアップのように両手を押し出します。
この時に普段のプッシュアップと同じように胸を張って、大胸筋に力を込めて腕を前に押し出します。
またダンベルカールの前なら、ダンベルを持たずに腕だけを曲げる動作を行います。
実際のダンベルカールと同じ動作を再現し、上腕二頭筋に力を込めて反動は付けないように行ないます。
このようにエアーでこれから行なう動作を10回~15回で2セット繰り返します。
それだけで関節や筋肉が動いてウォームアップされます。
さらにこれからターゲットになる場所を意識するので、本番のセットでも刺激をターゲットに入れやすくなります。
エアーでフォーム確認をしたら軽めの重量で筋肉を刺激する
ではここから、軽い重量で実際にマシンやダンベルを使って重りを上げていきましょう。
キツくはないけどターゲットの筋肉を意識できるような重さに設定して、重量を上げていきます。
セット数は2~3セットを行ない、セットを重ねるごとに少しづつ重くしていきます。
目的はあくまでこれから使う筋肉の意識をするということなので、疲れないくらいの重量から始めてください。
そして本番セット直前のウォームアップセットでは少し重量を重くして、アドレナリンも出し興奮状態に入るくらいのパワーは出すようにしてください。
筋肉や関節が温まり、軽い興奮状態に入ればウォームアップは完了です。
後は思い切り声を上げながら、本番セットで筋肉を追い込んでやってください(笑)
なお寒い季節など温まりづらい季節では、ウォームアップは1セット増やすなどして筋肉が温まるまでやるようにしてください。
ちなみに直前のトレーニングで補助筋として働いていた筋肉は長いウォームアップは必要ありません。
例えば先にベンチプレスをしていた場合、補助筋で上腕三頭筋が使用されていて、その時点で肘関節や三頭筋の温度は上がっています。
なのでベンチプレスの直後にダンベルキックバックをしたいときには、そこそこの重量から1セットアップのセットを始めて、しっかりと筋肉の意識が出来たらすぐ本番セットに入ってOKです。
有酸素運動ももちろんOK
軽いジョギングやバイクを漕ぐといった有酸素運動でも筋肉は温まりますのでもちろんOKです。
ただしあまり長時間やると筋肉内の糖質(筋グリコーゲン)を消費してしまうので、筋肉のバルクアップを目的にするならば時間にして5分前後でOKです。
バルクアップの秘訣はいかに時間をかけずに、短時間で筋肉を追い込むかが重要ですから。
後は前述した、軽いウエイトを使用した実際の筋トレ種目でウォームアップをするようにしてください。
筋肉に効かせるためにターゲットを触る
これは最もシンプルで簡単に出来るウォームアップ方法です。
これから使う部位を触ることで、実際のトレーニング中にターゲットをより意識しやすくなります。
背中などの筋肉は普段見えない所にあるために、なかなか意識しずらいです。
ですからあらかじめ筋肉をタッチすることで、実際のトレーニング中もしっかりと筋肉に刺激を入れる事ができるようになるのです。
音楽で気分を盛り上げる
これは直接筋肉を動かす方法ではありませんが、自分のテンションが上がる音楽を聞くというのも良いウォームアップと言えます。
例えば疲労感を感じているときでもそれが精神的なものからきているようであれば、自分の好きなワークアウトミュージックを聞くだけで身体が疼き出し、トレーニングがやりたくなったりします。
これには音楽が交感神経に働きかけ、軽い興奮作用に持っていってくれるという理由があるからです。
ジムでヘッドフォンをしながら、高重量の筋力トレーニングに励んでいるトレーニーが多いのはそういった理由があるからなんですね。
もちろん興奮状態にしっかり乗っていれば、オールアウト直前の後1回という苦しい瞬間もしっかり追い込み切ることが出来ます。
音楽はウォームアップから始まり最後のオールアウトにまで通じます。
筋膜をリリースする
筋膜ローラーなので筋肉の膜をほぐすのも立派なウォームアップです。
筋膜を広げれば筋肉内に入り込む血液の量や水分が増加して、より強いパンプ感が得られると言われています。
パンプがよりされればそれだけ筋肉の体積を増やす必要があるとなります。
バルクアップ効果が上がるので、もし筋膜ローラーが手元にあるならば筋肉をほぐしてからトレーニングに入ってください。
ちなみに筋膜ローラーは安いものならホームセンターでも売っているのでまずはそこら辺から試してみてください。
ただし安物は形状が崩れやすいので、そこも考慮しましょう。
動的ストレッチの時間や回数
動的ストレッチには明確な時間や回数というガイドラインはありません。
感覚の話になってしまいますが、筋肉がじんわり温かくなってくればそこまででいいでしょう。
あまり筋トレ前にやりすぎると動的ストレッチであっても、筋トレの効果を減少させてしまう可能性もあります。
なお静的ストレッチをもし筋トレ前にしたいのであれば、6秒間以内の静的ストレッチは可動域は拡大せずとも筋出力は向上するという研究結果もあります。
ウォームアップの参考にしてみてください。
参考文献: 獨協医科大学越谷病院 リハビリテーションセンター 研究論文
【結果】伸張時間が 6 秒間では関節可動域は拡大しないものの筋出力は向上し,30 秒間では関 節可動域は拡大したものの筋出力は低下した。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ptcse/21/1/21_51/_pdf
<筋トレ前のウォームアップのやり方と注意ポイントのまとめ>
このようにウォームアップといっても種類があって、やり方を間違えるとトレーニング効果を下げてしまうこともあるんです。
筋トレの前に行うならダイナミックな動きを伴う動的ストレッチ。
筋トレの後のケアを目的としたストレッチは、じっくりと動きを止める静的ストレッチだと覚えておいてください。
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タクヤ
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